Ochikubo-25
このサイトは、日本で千年余り前に書かれた物語を読んでみようという試みです。
取り上げる作品は、『落窪物語』です。
西洋では17(19)世紀に書かれた『シンデレラ』の日本の古典版といえるものです。
小さいお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、老若男女を問わず、皆様にお楽しみいただけるお話ではないかと思います。
ぜひご家族で、一人でも多くの方に一緒に読んでいただけましたら何よりです。
(なお、このサイトの著作者は古文になじみがありません。現代の日本語で読み、考え、さらに英文で表現するという難題に挑戦したいと思います。また、このコンテンツはあくまでもこのサイトの著作者の解釈に基づくものであることをご承知おきください。)
このサイトで主に使用する辞書・書籍
『落窪物語』(稲賀敬二)(新潮社 2017)
『全訳読解古語辞典(第五版)』(小型版)(鈴木一雄 小池清治 倉田実 石埜敬子 森野崇 髙山善行)(三省堂 2021)
『ルミナス和英辞典(第2版)』(小島義郎 竹林滋 中尾啓介 増田秀夫)(研究社 2006)
『ニュースクール英和辞典(第二版)』(廣瀬和清 伊部哲)(研究社 2019)
なお、下記のサイトで、原文の全文を見つけました。
(https://www.komazawa-u.ac.jp/~hagi/txt_ochikubomonogatari.txt)
まず今回のあらすじを紹介いたします。
その後ピックアップした古語の意味合いを考え、平安時代の社会や文化のあり方などいろいろ考えてみたいと思います。
今回のあらすじ
「急ぎ用件のみにて失礼いたします。やんごとなきお方に凶方をお避けいただく必要から私の部屋をお使いいただくことになりまして、つきましては几帳を一つと寝具もふさわしきものを整えたいと思っておりますのですが、お取りはからいいただくことはできますでしょうか。お借りできましたらありがたいです。急に勝手な都合で恐縮です」とあこきは手早く文を書き送ったところ、「思い出してくれて嬉しいわ。お役に立てれば何よりです。とりあえず火急の用向きをと。上等とは言えませんが、新品のものです。これくらいのものはいくらでもおありでしょうけれど、お送りいたします。几帳も遠慮せずお受け取りください」と秋の夜長にぴったりの綿入り掛け物などをすぐに用意してくれました。大喜びであこきはいただいた品々を姫様の前で広げて見せました。
几帳を開いてなんとかしつらえたところで右近の少将が現れました。今夜は夫として迎え入れます。おちくぼ姫はなお横になったままでしたが、さすがにそれでは申し訳ないのではと気づかわれ体を起こすと、「すぐれないものを、そのままで、どうか気になさらず」と右近の少将は声をかけ、姫のそばに一緒に体を横たえました。昨晩とはうってかわってまともな着物一式を身にまとい、しかもかぐわしい香りで心地よく、今宵は姫も気おくれもせず恥じ入ることもなく、落ち着いた気持ちで右近の少将に向き合うことができ、少将の方でもリラックスして姫と過ごせる時間を楽しみました。言葉少なではありましたが姫もお答えになり、その姿になんて愛らしい、こんなステキな姫がいようとは、と愛おしさをつのらせながら少将はあれこれと尽きることなく話し込み、あっという間に朝になりました。
[今回の古語]
ピックアップした古語の意味合いを考えてみたいと思います。
「「思い出してくれて嬉しいわ。お役に立てれば何よりです。とりあえず火急の用向きをと。上等とは言えませんが、新品のものです。これくらいのものはいくらでもおありでしょうけれど、お送りいたします。几帳も遠慮せずお受け取りください」」という箇所の古語を取り上げます。
「「音づれたまはぬをこそ、いと心憂く思ひたまふれ。何も何も、なほ宣はむと宣へれば、よろづとどめつ。いとあやしけれど、おのが着むとて、したりつるなり。さはしも、ものしたまふらむ。几帳奉る」」
おとづる(←おとづれ)
①音がする・声や音をたてる②人のもとを訪ねる・訪問する③手紙などでようすを尋ねる・便りをする
とどむ
①とめる・停止させる②制止する・とめる③中止する・とりやめる④あとに残す・残しておく⑤(心や目・耳に)注意を向ける・関心を寄せる
つ
①○○てしまった・○○た②確かに○○する・きっと○○てしまう・○○てしまう③きっと○○する・必ず○○てしまう・どうしても○○てしまう④○○たり○○たり
む
①○○だろう②○○う・○○よう・○○つもりだ③○○べきだ・○○のがよい④○○たらどうだ⑤○○であろう・○○としたら・○○ような⑥○○ような
とて
①○○と言って・○○と思って②○○というので・○○ということで③○○しようと思って・○○と思って④○○と言って・○○という名で
さは
①そのようには・そうは②それでは・それならば
しも
①まさに・○○に限って・よりによって・こともあろうに②決して(○○ない)・すこしも(○○ない)③必ずしも(○○ない)・あえて(○○もしない)④○○にもかかわらず・かえって
ものす
①いる・ある②行く・来る③生まれる・死ぬ④○○する・行う
らむ
①今ごろ○○だろう・○○ているだろう②○○からなのだろう③どうして○○しているのだろう④○○ているという・○○そうだ⑤○○ているだろう・○○ような⑥○○う・○○よう・○○だろう
あこきの叔母の言葉(文)のようです。あたたかい素敵な人柄がうかがわれますね。こういう叔母さんがいたらあこきもさぞや心強いのではないでしょうか。いざとなったら頼れる人がいる、その安心感もあこきの強さの源でしょうか。心の豊かな人は富にも恵まれるのでしょうか。
平安文化のあれこれ
あこきはその日の晩までに几帳や寝具を用意したいようですよねえ。それで大阪(和泉の国)の叔母さんに手紙を書いて、そしてすぐに必要なものを送ってもらって間に合ったようではないでしょうか。これは物語の中だから成立しているのか、それとも実際平安時代に貴族の家ではこういうことが行われていたのかわかりませんが、もしかしたらこれくらいの手軽さというか気軽さで家具や布団を実際に貸し借りしていたのでしょうか。現代日本で言えばそれなりに物流が発展していたということでしょうか。すぐに応じている叔母さんも素敵ですが、大阪から京にこのスピードで運んだ人なのか牛なのか馬なのかわかりませんが、運搬した人(牛・馬)もすごくないでしょうか。もしかしたら現代日本よりもスピーディーだったりしたのでしょうか。臨機応変に柔軟に機動力が発揮されていたのでしょうか。恐るべし、平安時代といった感じじゃあないでしょうか。のんぴりしたイメージと実態は違っていたのかもしれませんねえ。不便そうでいて、それを行動力で補っていたのでしょうか。あなどれない、すごさがあるかもしれません。
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“This is an urgent request. I would appreciate your understanding. Would you please lend me a kichou and a set of bedclothes (good ones if possible)? I provide my place for use of a noble lady as she needs to avoid an inauspicious direction. I am sorry to toruble you but I have to rely on your kindness as always. With all my love." This letter written by Akoki quickly was responded to by a favorable answer from her aunt: “Dear my love. I’m so pleased that you remember me. I’m also delighted to help you. Well, let me cut to the chase; I provide you with new articles that you want (I’m sorry they’re not so good but so-so). You may already have such ones, but please use those which I’ll send (and you don’t have to return them). Feel free to ask anything anytime. You are always welcomed. Lots of love." Quilts made of cotton suitable for cool night in autumn and other fine items much gratified Akoki, who showed them to her Princess to share joy.
Just upon unfolding and setting the kichou provided, Ukon’no Shoushou came. Tonight he is welcomed as to-be-husband of Princess Ochikubo. The Princess still lying felt sorry for the Prince to get up, receiving sweet and kind words from him who stopped her and took care of her also lying together beside her. In decent and nice clothes entirely different from those of the last night, the Princess relieved and relaxed without embarrassment and humiliation, enveloped in fine fragrance, can meet and talk with her future husband, who also calmly enjoys the night with his desired Princess feeling at ease. The Princess opening her heart a little gives a few replies, although in a faltering way, which made the Prince feel greater love for her, saying to himself; what a marvelous Princess! I’m determined to protect my Princess from any harm in any way. The overjoyed Prince is absorbed in talking with her treasured Princess until the morning has come instantly.
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