Ochikubo-24

このサイトは、日本で千年余り前に書かれた物語を読んでみようという試みです。

取り上げる作品は、『落窪おちくぼ物語』です。

西洋では17(19)世紀に書かれた『シンデレラ』の日本の古典版といえるものです。

小さいお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、老若男女を問わず、皆様にお楽しみいただけるお話ではないかと思います。

ぜひご家族で、一人でも多くの方に一緒に読んでいただけましたら何よりです。

(なお、このサイトの著作者は古文になじみがありません。現代の日本語で読み、考え、さらに英文で表現するという難題に挑戦したいと思います。また、このコンテンツはあくまでもこのサイトの著作者の解釈に基づくものであることをご承知おきください。)

 

このサイトで主に使用する辞書・書籍

『落窪物語』(稲賀敬二)(新潮社 2017)

『全訳読解古語辞典(第五版)』(小型版)(鈴木一雄 小池清治 倉田実 石埜敬子 森野崇 髙山善行)(三省堂 2021)

『ルミナス和英辞典(第2版)』(小島義郎 竹林滋 中尾啓介 増田秀夫)(研究社 2006)

『ニュースクール英和辞典(第二版)』(廣瀬和清 伊部哲)(研究社 2019)

 

なお、下記のサイトで、原文の全文を見つけました。

(https://www.komazawa-u.ac.jp/~hagi/txt_ochikubomonogatari.txt)

 

まず今回のあらすじを紹介いたします。

その後ピックアップした古語の意味合いを考え、平安時代の社会や文化のあり方などいろいろ考えてみたいと思います。

今回のあらすじ

おちくぼ姫は多くはありませんでしたが鏡やクシなど上等な品をお持ちでした。お母様の使われていたもので、高貴なお方にふさわしい優雅な品を感じさせ、あこきは「こうしたお鏡などがなければどうなっていたことか」とひとりごちながらきれいに磨いて姫様の枕もとに置きました。こうして女房の仕事も本来なら童女のする仕事もすべて次から次へと一人でやっているうちに日が暮れてきました。
右近の少将が来るのに備えてと、あこきは三の君からほうびでたまわった上等な着物をおちくぼ姫にそっと差し出しました。「出すぎたことをいたします。ほとんど着ていないものにございます。姫様、今夜はこちらをお召しくださいませ。いかがでしょうか。」さらに申し訳なさそうにして、「誠に失礼とは存じておりますが、他にどうしようもないかと」と付け加えました。自らの情なさにいたたまれない思いをされながらも姫様は、あこきの心づかいがありがたくて、ああこれでまた昨夜のようにみじめな姿をさらさずにすむとあんどされ、着がえられました。「お香も三の君様が裳着の際にくださったものが少しばかりございます」と用意し、たちまち姫様のお部屋がかぐわしい香りでいっぱいになりました。三尺の几帳を一つは置かなくては格好がつかないわねえ、頼めるあてはあるかしら、それにおやすみになられる寝具もねえ……とあこきは思案し、そうだ、和泉のかみのおば様にたずねてみよう、とさっそく文を送ってみました。

 

[今回の古語]

ピックアップした古語の意味合いを考えてみたいと思います。

「「出すぎたことをいたします。ほとんど着ていないものにございます。姫様、今夜はこちらをお召しくださいませ。いかがでしょうか。」」という箇所の古語を取り上げます。

「かたじけなくとも、まだいたう身にも馴れはべらず。いとほしう。昨夜をだに、さて見えたてまつるたまひけむを」

かたじけなし(←かたじけなく)
容貌が醜い⇒①みっともない・面目ない・恥ずかしい②恐れ多い・もったいない
②→③ありがたい

とも
①たとえ○○ても・かりに○○ても②確かに○○ではあるが・たとえそうであっても③もちろん○○よ・○○とも

まだ
いまだに・いまなお・まだ

いたう
=いたく→いたし

身
①からだ・身体②身の上・身分・分際・身のほど③その人自身・わが身④命⑤刀の中身・刀身⑥中身・内容⑦わたし・われ

馴る(←馴れ)
①もの慣れる②なれ親しむ・なじむ

う
①○○だろう②○○う・○○よう・かならず○○つもりだ③○○べきだ・○○のがよい④○○たらどうだ⑤たとえ○○としたら⑥○○ような

さて
①そういう状態で・そのままで②それとはべつに・そのほか・それ以外③そうして・それで・そこで④そうはいうものの・ところで・ところが⑤それにしてもまあ・なんとまあ

見ゆ(←見え)
①目に入る・見える②見られる③会う・対面する④(女性が)結婚する・妻になる⑤見慣れる・見かける⑥やって来る・現れる⑦感じられる・思われる⑧見ることができる

けむ
①○○ただろう・○○たのだろう②(理由は)○○たのだろう③どうして○○だったのだろう④○○たという・○○たとかいう


あこきがおちくぼ姫に申し出ている言葉のようです。三の君に(意に反しても)仕えさせられているので高待遇のおかげなのか、あこきは衣類などに恵まれているようではないでしょうか。逆に言えば、おちくぼ姫の境遇は、自らに仕える女房よりも劣っているということのようではないでしょうか。あこきとしても本意ではないのでしょうが、姫の気持ちや立場を考えて、これが最善だろうと考えてやむなくこのように申し出ているのではないでしょうか。昨夜のことを思えばましだろう、ということで姫に受け入れてもらえないかと問いかけているという感じでしょうか。姫もつらいでしょうが、あこきもなんとも言えない思いなのではないでしょうか。

 

平安文化のあれこれ

平安時代には貴族は必ずしも経済的に恵まれているというわけでもないのでしょうか。基本的には地位が高ければ裕福だったのでしょうが、おちくぼ姫のように女性の場合は、その立場や境遇、環境・条件次第で様々だったのでしょうか。あこきのように仕える相手(三の君)が裕福なら女房であっても良い着物を身につけ、美味しい物も食べられて、良い住まいも与えられたのでしょうか。今回のエピソードの最後に出てくるあこきの叔母さんは、旦那さんが和泉の国(大阪のようで京から近いでしょうか。)の国司という役職のようで、あこきにいろんな物を貸したりあげたりする余裕がありそうではないでしょうか。本来おちくぼ姫はお金持ちのお嬢様という立場のはずで、なぜ貧しいのかといえば、すべて継母の北の方が富をごっそり奪ってしまったからではないでしょうか。そうした理不尽をすべて黙って飲んで姫は日常を過ごしていたわけですけれど、右近の少将の訪問をきっかけに、残酷な現実に向き合わされざるを得なくなっているという感じでしょうか。いずれ(早くに)右近の少将が何不自由のない、姫にふさわしい優雅な生活を送らせてあげるようになるのでしょうけれど、その前に、一つ試練にさらされているのでしょうか。ただ姫としても、昨夜のみじめさより、体裁を取りつくろえるという意味ではこちらの方がまだ良いようなので、はやりあこきが考えたとおり、この状況ではこれがベストの選択なのでしょうか。あこきもきっとそうでしょうけれど、姫の幸せを願わずにはいられませんねえ。

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。次回もまたぜひお付き合いいただけましたら何よりです。またこのページの最後に掲載いたします英語版(有料)もぜひお読みいただけませんでしょうか。あわせてお心付けもお願いできましたらありがたく存じます。

 

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Ochikubo-Hime (Princess Ochikubo)

Princess Ochikubo had a few excellent belongings such as mirror and comb which the late mother used; their elegant style is worthy of a noble lady. “What if even they had been deprived of," said Akoki to herself aloud, polishing them beautifully and set them beside the pillow of the Princess. In that way Akoki did all work, both that of adult maids and that of young maids, one after another until the evening has come.
To prepare for the Ukon’no Shoushou’s visit, Akoki slided toward Princess Ochikubo splendid clothes which San’nokimi gave Akoki for a reward. “I beg your pardon for my bold proposition. This one is almost brand new, available to Your Highness. The night is coming and we need to brace ourselves for it." And apologetically Akoki further said, “I am fully aware of my rudeness, but we may not have any other choice." The Princess, who would run away from such disgrace if she could, feels gratitude for Akoki’s kindness, friendship and consideration and relieved that she will not expose the same shabby look as the last night’s, putting on them. Akoki also provided incense, which was also a reward from San’nokimi on the occasion of the ceremony for becoming an adult. Instantly the Princess’ place is full of sweet fragrance. There is some remaining tasks to do with; I have to get at least one sanjyaku-screen for a finish with smart style. I wonder whom I could ask for it. And I want to borrow some nice bedding too. After some consideration, Akoki decided to ask her aunt, who was married to the officer of Izumi Province, whether she could borrow them and immediately sent a letter.


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Posted by preciousgraceful-hm